『まんが ハーバードが絶賛した 新幹線清掃チームのやる気革命』を読んだよって話。
先日、とある本を会社の上司にお貸ししたところ、
「これを読んで、実践できるようになったら、俺を超えたことになるよ」
とよく分からない大変貴重なアドバイスと共にお借りした本を読みました。
その本はこちら。
以降、ネタバレ含みますので要注意。
「まんが」とありますが、実際は漫画より普通の文章の方が多めです。
漫画があることで、本書が伝えたいことの根拠が、ストーリーとして読者に理解させ、より納得感を持たせた内容になっていると感じました。
さて、こちらの本ですが、本の帯には「世界に誇る“日本式”チームマネジメントがまんがでわかる‼︎」とありますが、全然日本式ではない。
だって弊社こんなことはないもん
いや、日本式なのかもしれない
でも私は、ここで行われている改革の内容が、ここまで従業員の心を打ち、組織を変えた、という例を見たことがない。
さて、本書の内容に移りますが、簡単に説明すると、
JR東日本テクノハートTESSEIことテッセイのスタッフたちが、「清掃」という業務を、「誇り」と「やりがい」を持って働けるようになるまでに、どのような改革をしたか?ということが述べられていました。
前提として
- 「清掃」という業務内容は、世間的にも地位の低いものだったこと
- かつ、就職に失敗した人や失業した人、パートなどがスタッフの大半を占めていたこと
- ゆえに、その業務をしている自分に誇りを持てず、モチベーションの低い状態で仕事に当たっていたこと
- かつ、組織の中のボトムに位置しているチームだったので、何をしたところで自分たちの力では物事を動かせなかったということ
が挙げられます。
それらをいかに解決していったのか?
その答えを一言でまとめるならば、
テッセイスタッフをブランディングしたのです。
「ただの清掃員」から「旅の思い出を作るための新幹線劇場のキャスト」へ
正直申し上げると、主にやってることは変わらないんです。
新幹線の中を7分間で掃除する、これに尽きます。
しかしその「7分間清掃」を「7 minutes miracle!」と名付け、世間から賞賛され、“かっこよさ”を演出してあげることで、従業員たちのモチベーションが向上した。
ただそれだけなのです。
しかし、モチベーションの向上は多くの成果を生みます。
ここでいうならば、スタッフたちは「新幹線劇場のキャスト」として、お客様に「旅の思い出」を提供するためにどうしたらいいのか?を考えるようになった。
つまり、それは「清掃」以外のところに視線を向けるきっかけになる。
経営者としては、その声を簡単に挙げられる環境、そしてそれを実行しやすい環境を整えてあげることで、
「自分が考えて実行したことが、形になり、成果となる」
そんな組織に改革したのです。
そして、その成果は自分のものだ!という気持ちは、そのスタッフのモチベアップへとつながっていく…
いいサイクルですね。
ただ清掃しているだけだった組織が、新幹線周りのおもてなしすべてを司る組織になったのです。
これはすごい改革だと思いました。
さて、ここで私が言いたいことが何かと言いますと、
「人は、かっこいいものに心惹かれる」
ということです。
世の中の仕事には、イメージがあります。
そのイメージがよければ良いほど、スタッフのモチベーションは上がるのだと思っています。
例えばスタバのスタッフ。
あいつら、いつ行っても、どこ行っても愛想がいい。
それは「スタバの店員さんはオシャレで、可愛くて、愛想が良くて、最高のサービスをしてくれる」という期待感が顧客にあるからです。
加えてドリンクを作っている時のパフォーマンス感すごいですよね。
「抹茶クリームフラペチーノ〜」ってレジの人が言うと、全員で「抹茶クリームフラペチーノ〜」ってゆるっと言うし、カウンター内にある機械を素早く動かして商品を作り、お渡しの時はめちゃくちゃいい笑顔で渡してくれる。
加えて可愛いイラストなんかもつけてくれる。素敵だ。
ディズニーキャストも同じです。
夢の国の住人を演じているキャストたちは、「いらっしゃいませ」なんて言わない。
たかが清掃もひとつのパフォーマンス。
ヨーホーって声かけるとヨーホー!って言ってくれるし、誕生日だというとシールに名前入りで「Happy Birthday!」と書いてくれる。
そして、みんなやつらに期待している。そんな「夢の国」を見せてくれ、と。
スタッフとしては、自分の業務が、1つのパフォーマンスとして、顧客に見られ、賞賛される。
自分のしたことが褒められることほど、嬉しいものはないですよね?
だから仕事が楽しくなるし、誇りを持てる。
前回のブログでも述べましたが、これからは「個」の時代です。
組織で生きる人間たちにも、「個」としての存在価値を見出させ、モチベーションを向上させていかない限り、その仕事をしたい人は減っていくでしょう。
まぁそうなったら、ロボットがその仕事をしてくれるんでしょうけど。
つまり、本書を読んで、私がこれからの組織において重要なことは2つだと思いました。
- 自分が考えたことがきちんと形になり、成果となること。
- 自分の仕事をいかに「かっこいい」ものに、ブランディングできるか?ということ。
以上2つです。
余談ですが、私も新幹線乗る時にはテッセイの掃除をついつい見ちゃうんですが、あれは結構感動しますね。
本当に早い。見ていて面白い。気づいたら7分間なんてあっという間です。
ぜひみなさんも見て見てはいかがでしょうか?